先日の26日、東邦大学佐倉看護専門学校にて「医療と倫理」と言う、ちょっと小難しい題名で講義をさせていただきました。
この授業は、アメリカなどでは当たり前に行われている、当事者本人が教壇に立ち講義をすると言う授業です(*^_^*)
年に1回、今回で2回目の授業で
今年は私が1時間目を受け持ち、2時間目をHPSJ代表のヨハンナさんが受け持ちました。
私の授業内容のテーマは「ことば」です(^-^)
私の半生の中で出会った、ことばを通じて、ことばの大切さを知っていただけたらと思い話させていただきました。
生徒さんは、みなさん将来、看護士・助産師や何かしらの医療の道を進む方々です。
そして私たち当事者は、みなさんよりも多く医療機関のお世話になります。
その中で、治療を通じて症状を軽くしていただいたり、これ以上の進行を押さえていただいたりと身体的な部分での治療が主に行なわれます。
ただ診ていただく際の「医師からのことば」によって、時には「人生を左右する」事すらあるのです。
アルビノの場合ですと、たいていの医師は医学書を取り出して「たぶん、ここに載っている白皮症でしょう?」と言われます。
その情報が本当に正しいものなのか確かめもせず、さも本当の様に「皮膚癌に注意しましょう」とか「日に当てないで下さい」とか、酷いものになると「この子は一生目が見えません」とか更に酷い場合「長くは生きられないでしょう」と確認もせずいとも簡単に言われた側の事など考えず言ってしまいます。
医師にしてみたら一生で診る数万人の患者の「たったひとり」に過ぎないかもしれません、でも私たち当事者やご家族にとっては数万人いる医師の中で、その先生が頼りなのです^ー^)人(^ー^
その先生が発した言葉が全てなのです。
私は小学校2年生の時に、某大学病院で2日間の検査を受けました。
眩しいのが苦手な私の事を知っているのに「珍しい」からと言う理由で生徒に「めったに診られないからよく見ておきなさい」と言って、生徒さんに見せ物扱いされました。
私は子供ながらに「この検査が終われば善くなるだろう」との望みをもって我慢して受けました。
アルビノ当事者さんは分かるとは思いますが、私たちの目は眩しさに弱いのです。
でも目の検査は眩しい光を真正面から当て続けるのです、それがどれだけ大変な事か分かっていただけるとと思います。
そんな大変な検査を2日間受けて、最後に言われた言葉が、あっさりとひとこと「この子の目は一生ダメです!この病気は治りません」でしたw(°O°)w
私も母も、その場で呆然とするしかありませんでした。
その女性の教授は、あっさりと言って「では、お大事に」と言うと、次の患者さんを待っている感じで、私たちに何も言って下さいませんでした。
私も母も、何を言っていいのか言葉が見つからず、病院の廊下で立ち尽くしていました。
子供だった私にとって「一生ダメ」と言う言葉のインパクトは物凄いもので、とても子供ひとりで受け入れられる様なものではありませんでした。
その後の私は益々、勉強もしなくなり何をしても「どうせ一生ダメなんだから…」と何事にも諦める子供になって、どんどんおかしくなり学校では「問題児」になっていきました。
そんな、私を救ってくれたのも、みんなからの温かい「ことば」でした。
中学2年からは部活に落ち込み、どんどん上位に入る実力もつき3年にはレギュラーにもなって夢だった初段もとっていました。
気がつけは卒業の時には市内の各学校で2名しか選ばれない「教育奨励賞」をいただくまでになり学校で「問題児」だった私が、ことばによって立ち直り、賞を受賞するまでになり、その受賞内容に書かれた言葉には「他の生徒の模範」とまで書かれていました。
私はことばによって、どん底に突き落とされ、ことばによって救われました。
いま活動をさせていただく中で、ことばをとても大切にしています。
ことばが、人に与える影響の大きさを知った私にとって、同じ言葉を話すなら「人を傷つけることば」ではなく「人の心を癒すことば」を話していきたいと思いました。
ことばの大切さを、今回の講義を聞いて下さった生徒さんにも伝わって下されば、今後、今回の講義を受けた生徒さんが医療機関に出た時に、患者さんにかけることばは治療を越えた心のお薬になって、患者さんの心を癒して下さる事を心から願っています。
医師に言いたいのは、知らないのなら「知らないと言える勇気」を持ってほしいと言う事です。
あなたの医師として小さなプライドでなく、人としての大きなプライドがあるのなら「知りません」と言える医師になってほしい。
いい加減な情報をことばとして流し当事者さんやご家族さんの将来を間違った方向に導かないで下さい。
正しい情報を、確実な情報を流し当事者さんやご家族さんを幸せに導いて下さい。
あなたのことばが私たちの、そしてご家族の一生を左右する事があると言う責任と認識を持って、ことばを発して下さいね。
今回の講義では「ことばの大切さ」を伝えさせていただきました。